10483.jpg
職場のビジネスチャット、会社の上層部から「監視」されていた…「LINE感覚の書き込み」勝手に見ていいの?
2023年10月03日 09時59分
#プライバシー #Slack #社内規定

職場で、スラックなどのビジネスチャットツールを利用している人も多いでしょう。そんな社内チャットの個別のやりとりが、会社に監視されていたという相談が、弁護士ドットコムに寄せられています。

ある女性は、会社の上層部たちにチャットツールの会話を見られていました。

「社内専用のSNSがあるのですが、そのチャットツールを使った会話が会社の上層部の人たちに見られていることを最近知りました。ラインのような感覚で社員は使っており、社内の人とコミュニケーションをとっているのですが、その会話が見られていたなんて…困ります」(女性の相談より)

会社側が社員のチャットを監視することは、法的に問題ないのでしょうか。山本幸司弁護士に聞きました。

職場で、スラックなどのビジネスチャットツールを利用している人も多いでしょう。そんな社内チャットの個別のやりとりが、会社に監視されていたという相談が、弁護士ドットコムに寄せられています。

ある女性は、会社の上層部たちにチャットツールの会話を見られていました。

「社内専用のSNSがあるのですが、そのチャットツールを使った会話が会社の上層部の人たちに見られていることを最近知りました。ラインのような感覚で社員は使っており、社内の人とコミュニケーションをとっているのですが、その会話が見られていたなんて…困ります」(女性の相談より)

会社側が社員のチャットを監視することは、法的に問題ないのでしょうか。山本幸司弁護士に聞きました。

●社内規定は?事前に合意しているか?

——ビジネスチャットの内容を監視することについて、プライバシーの問題はないのでしょうか?

社内チャットは会社のネットワークなどを使用するものではありますが、従業員のプライバシー保護との関係で問題となることがあります。

まず、会社の社内規程にチャットを閲覧・監視するとの規定がある場合や、従業員が監視の実施に事前に同意している場合においては、従業員はプライバシーのない通信手段としてチャットを使用することになります。

そのため、会社による監視は、特別な事情がない限り適法と考えられます。ただし、社内規程は従業員への周知が必要です。

——このような社内規程や従業員の同意がない場合には、どうでしょうか?

その場合、プライバシー権侵害となることがあります。

類似の事案について、裁判例もあります。これは、会社のネットワークを使用した電子メールを会社が監視した事案で、「監視の目的、手段及びその態様等を総合考慮し、監視される側に生じた不利益とを比較衡量の上、社会通念上相当な範囲を逸脱した監視がなされた場合」に、プライバシー権侵害になると判示しています(東京地裁平成13年12月3日判決、労判826・76)。

たとえば、監視する職務上の必要性がない場合や、個人的な好奇心から監視をした場合、監視するような責任ある立場にない者が監視した場合などは、違法となる可能性があるでしょう。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る