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「小保方さんの処分と検証参加をどう両立?」 理研改革委の「提言書」を読む(上)
2014年06月13日 15時23分

STAP論文の研究不正が認定された問題を受け、理化学研究所(理研)の改革委員会は6月12日、小保方晴子ユニットリーダーが所属する発生・再生科学総合研究センター(CDB)を「解体するべき」とする提言書を出した。

今回の提言書は、弁護士の目にはどのように映るのだろうか。4月に発表された理研調査委の最終報告書について解説してもらった冨宅恵弁護士に聞いた。

STAP論文の研究不正が認定された問題を受け、理化学研究所(理研)の改革委員会は6月12日、小保方晴子ユニットリーダーが所属する発生・再生科学総合研究センター(CDB)を「解体するべき」とする提言書を出した。

今回の提言書は、弁護士の目にはどのように映るのだろうか。4月に発表された理研調査委の最終報告書について解説してもらった冨宅恵弁護士に聞いた。

●「過去の清算」と「将来への対応」

「研究不正再発防止のための提言書」の内容を分かりやすく表現すると、今回の問題に対する「過去の清算」と「将来に向けた対応」ということになります。

まず、「過去の清算」の部分は、多くの国民が科学研究そのものや科学研究に携わる者に対して不信感を抱いているということを踏まえて、非常に踏み込んだ内容になったと評価しています。個人的に推測していたよりもはるかに厳しく、改革委員会が抱いている危機感が、ひしひしと伝わってくる内容だと感じました。

●「研究を続けるかどうか」から検証

今回の提言では、小保方晴子氏本人に対する処分だけではなく、組織を運営する者の責任意識がなければ再発防止はありえないとの考えのもとに、理研CDBの笹井芳樹・副センター長や竹市雅俊・センター長に対しても、相応の厳しい処分を行うべきであるとされています。

そして、現在の発生・再生科学総合研究センター(CDB)については、これを『完全に解体』したうえで、理研内部において発生・再生科学の研究を継続するかという根本的なレベルから検証を行うべきであるとされています。

仮に、研究続行が必要だとされ、新たなセンターをつくる場合も、人事は刷新されるべきであるとされています。また、研究の目的も、「理研の功名のため」ではなく、発生・再生科学の分野において世界を牽引していくための研究活動を行うべきで、そのためには、他の研究機関との連携や、研究課題の新たな設定が必要であるとされています。

●小保方氏にどんな「処分」が下されるのか

また、研究不正が行われていなかったか、STAP現象は本当に存在するのかといった、国民が最も関心を寄せている問題についても、明らかにしていくべきだとしています。研究不正が認定されていない方のSTAP論文(第2論文)についても、小保方氏の論文撤回により事件の幕引きをすることは許されないと明言しています。

STAP現象そのものの検証については、監視役を同席させることを条件としつつも『小保方氏による関与が前提』とされている点に注目しています。

小保方氏が検証に耐えうる資料を保存していなかったことから、小保方氏の関与なくしてSTAP現象の検証が困難であるとの事情は理解できます。しかし、「小保方氏に対する処分」と「検証への参加」をどのように両立させることを前提にしているのかは、提言書も明らかにしていません。

小保方氏に対する処分は、多くの人々の関心事です。処分の内容しだいでは、理研に対する不信感が増すことになります。

たとえば、小保方氏に対して懲戒解雇の処分を下したうえで、検証活動に参加することができる一時的な地位を付与することになるのか、それとも、そもそも、『検証活動に参加することを前提にした処分に留まる』のか。今回の提言を受けた理研の対応を注視していく必要があると思います。

(下に続く)

(弁護士ドットコムニュース)

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