11289.jpg
食べ放題で余った肉を七輪の中にポイッ「炭がダメになった、3万円払え」従うしかない?
2023年10月06日 09時44分

食べ放題で残った肉を七輪の中に捨てたら「炭代3万円」を請求された——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者が焼肉店で食べ放題コースを注文し食事していたところ、「ライスはもうない」と店側から悲しいお知らせが。「米がなければ肉を食べられない」という相談者は、テーブルに残っている肉を「食べる気にならなかった」そうですが、「食べ放題コースでの食べ残しは追加料金が発生する」という店の決まりがあるため、追加料金を避けようと残った肉を七輪の炭の中に捨てたそうです。

しかし、会計時に店側から「店の炭がだめになった!3万円払ったら今回の件は水に流す」と言われたため、食事代と3万円を支払いました。相談者としては、「炭代にしては高すぎる」と請求された額に納得がいかないようです。

店側からの請求額は妥当だったのでしょうか。また請求額に納得がいかない場合はどう対応すべきでしょうか。大和幸四郎弁護士に聞きました。

食べ放題で残った肉を七輪の中に捨てたら「炭代3万円」を請求された——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者が焼肉店で食べ放題コースを注文し食事していたところ、「ライスはもうない」と店側から悲しいお知らせが。「米がなければ肉を食べられない」という相談者は、テーブルに残っている肉を「食べる気にならなかった」そうですが、「食べ放題コースでの食べ残しは追加料金が発生する」という店の決まりがあるため、追加料金を避けようと残った肉を七輪の炭の中に捨てたそうです。

しかし、会計時に店側から「店の炭がだめになった!3万円払ったら今回の件は水に流す」と言われたため、食事代と3万円を支払いました。相談者としては、「炭代にしては高すぎる」と請求された額に納得がいかないようです。

店側からの請求額は妥当だったのでしょうか。また請求額に納得がいかない場合はどう対応すべきでしょうか。大和幸四郎弁護士に聞きました。

●責任はあるが「ライス品切れは店側の落ち度になりうる」

——そもそも請求額を支払う必要があったのでしょうか。

結論から申し上げますと、3万円も払わなくてよかったと思います。

契約は申し込みと承諾の一致により成立します。今回のケースでは店から3万円を請求されるという申し込みをされ、相談者は渋々ながら3万円で承諾し、支払っており、契約が成立しています。請求段階で相談者が拒否すれば、支払い義務は生じませんでした。

少し外れますが、無断駐車をした場合に、ペナルティとして1万円を請求された場合と似ています。確かに無断駐車は悪いですが、管理者から1万円を請求されても無断駐車をした人が承諾をしない限り、1万円の支払い義務は生じません。損害額については、実損害ですが、駐車場の場所、駐車時間など諸般の事情が考慮されるでしょう。

——「3万円」という請求額はどうでしょうか。

今回のケースくらいでは、炭代だけで3万円もしないと思います。とはいえ、相談者が店にお金をまったく支払わなくてよかったというわけではありません。

残った肉を七輪に入れたことで、炭を取り換えなければならないという損害が生じたときは損害賠償責任を負います。

ただ、時価賠償が原則ですし、清掃費・人件費などを加味しても3万円までいかないのではないでしょうか。もし片付け程度であれば、ほとんど損害は生じていないと思います。

——店側に「ライスがもうない」と言われたことが肉を残した理由だったようです。

焼肉店でライス品切れというのは飲食店としてはあってはならないことだと思います。この点で店側にも落ち度(過失)があり、損害額が軽減されることもあると思います(民法722条2項)。

●納得いかないなら「消費生活センターに相談」もアリ

——請求額に納得がいかない場合、どう対応すればいいのでしょうか。

店側とじっくり話し合うか、消費生活センターに相談することをお勧めします。弁護士を通じての話し合いや裁判などももちろん考えられますが、手間や費用がかかり、請求額も考慮すると、実際の解決としてはあまり現実的ではないでしょう。

なお、仮定の話ですが、残った肉を七輪の中に入れたことが原因で火災が生じた場合、相談者は火事による賠償責任を負わなくてはならなくなるおそれがあります。

たしかに「ライスはもうない」というのは悲しいお知らせだと思います。私も焼肉にライスがないと満足できない方ですが、炭をダメにしてしまうような行為はいけません。せっかくの食べ放題ですので、ルールを守って楽しく食事をしてほしいと思います。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る