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ファンと交際「アイドル」を訴えた芸能プロ敗訴、過去の判決と判断が分かれたポイント
2016年01月22日 10時59分

アイドルグループのメンバーだった女性が、ファンとの交際を理由に、芸能プロダクションから損害賠償を求められていた裁判で、東京地裁は1月18日、「異性との交際は『幸福を追求する自由』に含まれ、制裁をもって禁止するのはアイドルとしても行き過ぎ」として、プロダクションの訴えを退けた。

報道によると、女性は19歳だった2012年4月、「ファンと交際した場合は損害賠償を求める」などと定めた契約を会社と結び、活動を開始したが、すでに成人となっていた2013年12月ごろ、ファンと交際を始めた。2014年7月には辞める意思を伝えて、ライブに出演しなかった。芸能プロダクションは「契約違反の行為で損害を被った」として、女性と交際相手などに賠償を求めていた。

原克也裁判長は「異性との交際は自分の人生をより豊かに生きるために大切な自己決定権そのもので、『幸福を追求する自由』に含まれる」と指摘。「損害賠償という制裁をもって交際を禁止するのは、アイドルという特性を考慮してもいささか行き過ぎな感は否めない」とした。

今回、恋愛禁止は行き過ぎだという判決が出たが、昨年9月には別の裁判で、正反対と思える判決が出ている。それは、アイドルグループのメンバーの少女(当時17歳)が男性との交際禁止の規約に違反した結果、グループを解散せざるをえなくなったとして、マネジメント会社などが少女と親に損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は「アイドルとの交際発覚はイメージ悪化をもたらす」「解散によって会社は初期投資が回収できなくなった」として規約違反を認め、少女に65万円の支払いを命じた。

このように昨年9月と今回は、判決の内容が真逆であるようにも見えるが、アイドルの「恋愛禁止」問題において、法的な論点はどこにあるのだろうか。神尾尊礼弁護士に聞いた。

アイドルグループのメンバーだった女性が、ファンとの交際を理由に、芸能プロダクションから損害賠償を求められていた裁判で、東京地裁は1月18日、「異性との交際は『幸福を追求する自由』に含まれ、制裁をもって禁止するのはアイドルとしても行き過ぎ」として、プロダクションの訴えを退けた。

報道によると、女性は19歳だった2012年4月、「ファンと交際した場合は損害賠償を求める」などと定めた契約を会社と結び、活動を開始したが、すでに成人となっていた2013年12月ごろ、ファンと交際を始めた。2014年7月には辞める意思を伝えて、ライブに出演しなかった。芸能プロダクションは「契約違反の行為で損害を被った」として、女性と交際相手などに賠償を求めていた。

原克也裁判長は「異性との交際は自分の人生をより豊かに生きるために大切な自己決定権そのもので、『幸福を追求する自由』に含まれる」と指摘。「損害賠償という制裁をもって交際を禁止するのは、アイドルという特性を考慮してもいささか行き過ぎな感は否めない」とした。

今回、恋愛禁止は行き過ぎだという判決が出たが、昨年9月には別の裁判で、正反対と思える判決が出ている。それは、アイドルグループのメンバーの少女(当時17歳)が男性との交際禁止の規約に違反した結果、グループを解散せざるをえなくなったとして、マネジメント会社などが少女と親に損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は「アイドルとの交際発覚はイメージ悪化をもたらす」「解散によって会社は初期投資が回収できなくなった」として規約違反を認め、少女に65万円の支払いを命じた。

このように昨年9月と今回は、判決の内容が真逆であるようにも見えるが、アイドルの「恋愛禁止」問題において、法的な論点はどこにあるのだろうか。神尾尊礼弁護士に聞いた。

●微妙な事情や裁判官の価値観が判断をわけた可能性

神尾弁護士には、昨年9月の判決のときも解説してもらい、次のような記事にした。

・「ファンと交際」アイドルに賠償命令ーー交際禁止は「公序良俗違反」で無効でないか? https://www.bengo4.com/saiban/1139/n_3749/

それを踏まえ、どのように考えているのだろうか。

「判決文や契約書の内容などが分からないので、一般論としてお答えします。

昨年9月の認容判決の際にコメントしたように、ファンとの交際を禁止する契約は公序良俗違反の疑いがあり、特殊な事情がある場合に限り、有効(損害賠償等が認められる)と考えます。

恋愛の自由は、個人の根幹的な自由であり、それを制限するには相応の理由がなければならない、という理由です」

前回の事件と今回の事件とで、何が結論を分けたのか。

「正直に申し上げると、報道ベースでは、その細かいところは伝わってきません。おそらく、次のような事情などが考えられます。

(1)前回の事件では、グループが解散にまで至っており、プロダクション会社のマネジメントへの影響が非常に大きかったと考えられること

(2)前回の事件では、契約時も交際時も未成年であり、教育的な観点からも恋愛禁止としやすかったこと(校則などで恋愛を制限できることに似ています)

ただ、(2)については、『成人だからこそ自分の行動に責任を取るべき』とも考えられます。判断を分けたのは本当に微妙な事情だった可能性もあり、裁判官の持つ価値観の違いによる可能性もあります。

このままでは、アイドル側(特にこれからアイドルになろうとする人)もマネジメント会社側も予測ができず、どのような契約を結んだらよいのか不安定な状態になります。

前回の事件の際にもコメントさせていただきましたが、恋愛禁止は強い制限ですし、個人と会社では力関係も不均衡といえます。業界内でガイドラインを作るなど、公平で分かりやすいルール作りが重要になろうと考えます」

神尾弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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