1367.jpg
「客と連絡先を交換したら罰金100万円」 キャバクラの「非常識ルール」は有効か?
2013年03月19日 14時43分

夜の歓楽街の片隅で、艶やかな衣装を身にまとった若い女性が男性たちを接客するキャバクラ。いっけん華やかにみえる世界だが、そこで働く女性たちに過酷な「ルール」が課されている場合もある。

弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」には、あるキャバクラ嬢から、常識では考えにくいルールについての相談が寄せられていた。その店には「お客様と連絡先を交換してはいけない」という規約があり、もし違反した場合には約100万円の「罰金」が課されるのだという。その場合には、書類にサインと捺印することが求められ、店から「罰金の効力は退職後も数年続く」と告げられるのだそうだ。

このようなキャバクラの「罰金ルール」は有効なのだろうか。違反した場合に100万円もの罰金を課すというのは、そのほかの組織では考えにくいが、水商売の世界では仕方ないのだろうか。秋山亘弁護士に話を聞いた。

●キャバクラ嬢にも「労働基準法」が適用される

「キャバクラ嬢と店側との契約も、雇用契約に該当しますので、労働基準法が適用されます。労働基準法は、社会経済的に弱い立場の労働者を保護する法律で、労働基準法に違反する取り決めは無効とされます」

つまり、キャバクラ嬢も、サラリーマンと同じように労働基準法によって守られているというわけだ。秋山弁護士によれば、この労働基準法のなかには「違約金」に関する条文もあるという。

「労働基準法16条は、『使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償を予定する契約をしてはならない』と定めています。

本件のように、『お客様と連絡交換をしたら罰金100万円を課す』という取り決めは、『労働契約の不履行について違約金を定めた』場合に当たるため、当然無効になります」

つまり、「100万円」という金額以前の問題として、キャバクラ店が決めている「罰金ルール」は労働基準法に反するから無効というわけだ。

「したがって、キャバクラ嬢としては、このような罰金を支払う必要はありません。仮に支払ってしまったという場合も無効な取り決めによる支払いですので、『不当利得』として雇用主側に返還請求することができます」

キャバクラのような水商売の世界でも、雇用関係で働いている以上は、労働基準法が適用されるのだ。さまざまな事情でキャバクラで働いている女性もいるが、もし法外な「罰金ルール」にサインすることを求められたら、そのような店では働かないようにするのが賢明ということだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

夜の歓楽街の片隅で、艶やかな衣装を身にまとった若い女性が男性たちを接客するキャバクラ。いっけん華やかにみえる世界だが、そこで働く女性たちに過酷な「ルール」が課されている場合もある。

弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」には、あるキャバクラ嬢から、常識では考えにくいルールについての相談が寄せられていた。その店には「お客様と連絡先を交換してはいけない」という規約があり、もし違反した場合には約100万円の「罰金」が課されるのだという。その場合には、書類にサインと捺印することが求められ、店から「罰金の効力は退職後も数年続く」と告げられるのだそうだ。

このようなキャバクラの「罰金ルール」は有効なのだろうか。違反した場合に100万円もの罰金を課すというのは、そのほかの組織では考えにくいが、水商売の世界では仕方ないのだろうか。秋山亘弁護士に話を聞いた。

●キャバクラ嬢にも「労働基準法」が適用される

「キャバクラ嬢と店側との契約も、雇用契約に該当しますので、労働基準法が適用されます。労働基準法は、社会経済的に弱い立場の労働者を保護する法律で、労働基準法に違反する取り決めは無効とされます」

つまり、キャバクラ嬢も、サラリーマンと同じように労働基準法によって守られているというわけだ。秋山弁護士によれば、この労働基準法のなかには「違約金」に関する条文もあるという。

「労働基準法16条は、『使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償を予定する契約をしてはならない』と定めています。

本件のように、『お客様と連絡交換をしたら罰金100万円を課す』という取り決めは、『労働契約の不履行について違約金を定めた』場合に当たるため、当然無効になります」

つまり、「100万円」という金額以前の問題として、キャバクラ店が決めている「罰金ルール」は労働基準法に反するから無効というわけだ。

「したがって、キャバクラ嬢としては、このような罰金を支払う必要はありません。仮に支払ってしまったという場合も無効な取り決めによる支払いですので、『不当利得』として雇用主側に返還請求することができます」

キャバクラのような水商売の世界でも、雇用関係で働いている以上は、労働基準法が適用されるのだ。さまざまな事情でキャバクラで働いている女性もいるが、もし法外な「罰金ルール」にサインすることを求められたら、そのような店では働かないようにするのが賢明ということだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る