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ふるさと納税「これ地場産品?」総務省Q&Aを入手…「非常に失望した」自治体に困惑も
2018年10月19日 11時51分

ふるさと納税の返礼品が一部で過剰になっているとして総務省が法規制の方針を示した問題で、総務省は全国の自治体に対し、返礼品として認められる場合についてQ&A形式で見解を記した文書(事務連絡)を送った。文書は10月16日付で、「見直しの際の一助としていただくことを目的」にしている。

ふるさと納税の返礼品が一部で過剰になっているとして総務省が法規制の方針を示した問題で、総務省は全国の自治体に対し、返礼品として認められる場合についてQ&A形式で見解を記した文書(事務連絡)を送った。文書は10月16日付で、「見直しの際の一助としていただくことを目的」にしている。

●「良識ある対応をお願い」→三つのQ&A列挙

弁護士ドットコムニュースでは、ある自治体から文書を入手。文書は2枚からなり、1枚目では今年4月に出した「返礼品は地場産品とすることが適切」との通知内容を紹介したうえで、「良識のある対応をお願いしているところ」だと、改めて総務省として見直しを求めている姿勢を強調した。2枚目には三つのQ&Aを記した。内容は以下のとおりとなっている。

(問1)本市では、姉妹都市や友好都市、返礼品の提供を目的とした協定に基づいて、相手方の団体の特産物等を返礼品として送付しているが、地場産品と考えられるか。

(回答)地場産品とは考えられない。

(問2)本町では、町内の小売業者が町外から仕入れてそのまま販売している商品を返礼品としているが、地場産品と考えられるか。

(回答)地場産品とは考えられない。

(問3)本市では、市内に事業所が所在する事業者が市外で生産し、一般に流通している商品を返礼品としているが、地場産品と考えられるか。

(回答)地場産品とは考えられない。

●総務省「新たな方針を示したわけではない」

こうしたQ&Aについて、総務省市町村税課は「寄せられた質問のうち主だったものを回答した。この文書で特段新たな方針を示したわけではない」(担当者)と取材に答えた。回答の書きぶりからはあっさりした印象を受けるが、自治体側に疑問点があればこれまでどおり問い合わせに応じるという。

今回の文書に戸惑う自治体もある。たとえば、ある西日本の小規模自治体(仮名=A村)では、村内産の果実をジュースなどの加工品にして返礼品としているが、村内の設備ではまかないきれず、大半を隣接自治体の加工施設に頼っている。Q&A(問3)でいう「生産」を広く捉え、加工や瓶詰め工程まで含めるとなれば、総務省方針に反することになってしまう。

A村のふるさと納税担当者は「まず、たった2〜3行程度のQ&Aで片付ける話ではない。大手食品メーカーの商品や、あまりにも離れた場所のものを扱うのはおかしいというのは理解できるが、そもそも自治体の域内に限定するという考え方がおかしい。域内で完結するものばかりでなく、周辺自治体と一緒になりながら地域おこしをしている」と取材に話した。

A村では「やぶへび」になることも懸念し、自ら総務省に対してさらなる確認をするつもりはないという。担当者は「とりあえずは、これまで通りにしておきます」。

●泉佐野市「ふるさと納税全体が縮小してしまうことを危惧」

ふるさと納税の見直しで、総務省方針に従わない自治体のひとつとして名指しされた大阪府泉佐野市(2017年度に全国トップの約135億円を集めた)にも同じ文書が届いている。泉佐野市は取材に対し、次のとおりコメントした。

「今回の通知は、恵まれた『地場産品』を持つ自治体と持たない自治体とで、明確に差異が生じてしまう事態が容易に想像できる事例が示されたと理解しています。懸念を抱いている地方の声にまったく耳を傾けないという総務省の姿勢の表れであり、非常に残念であり失望しています。

総務省が示した例に従うと、ふるさと納税全体が縮小してしまうことが危惧されます。ふるさと納税は地方のための制度でもあり、地方自治体の意見やアイデアを尊重する姿勢を示していただきたいと考えます」

(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama

(弁護士ドットコムニュース)

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