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居酒屋で酔っ払った客にゲロを吐かれた・・・汚れた服の「全額弁償」を請求できるか?
2015年04月06日 12時59分

居酒屋で泥酔した人から嘔吐物をかけられてしまった——。そんな不幸な事態に見舞われた男性から、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに相談が寄せられた。

相談者は、客として入店していた居酒屋で、ひどく酔っ払った他の客から、靴・ズボン・セーターからコートに至るまで、着ているものほぼすべてに嘔吐物をかけられてしまった。相手からは後日、クリーニング代を支払うか弁償する、との連絡があったそうだ。

他人の嘔吐物がかかった衣類は、たとえクリーニングしても、再び着る気にはなれない。そのように相談者は考えたようで、衣服すべてについて弁償してもらいたいと考えている。「購入時の金額を全額請求したい」そうだが、そんなことは可能なのだろうか。浜田諭弁護士に聞いた。

居酒屋で泥酔した人から嘔吐物をかけられてしまった——。そんな不幸な事態に見舞われた男性から、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに相談が寄せられた。

相談者は、客として入店していた居酒屋で、ひどく酔っ払った他の客から、靴・ズボン・セーターからコートに至るまで、着ているものほぼすべてに嘔吐物をかけられてしまった。相手からは後日、クリーニング代を支払うか弁償する、との連絡があったそうだ。

他人の嘔吐物がかかった衣類は、たとえクリーニングしても、再び着る気にはなれない。そのように相談者は考えたようで、衣服すべてについて弁償してもらいたいと考えている。「購入時の金額を全額請求したい」そうだが、そんなことは可能なのだろうか。浜田諭弁護士に聞いた。

●「全額の弁償は難しい」

「結論から言うと、全額の弁償を得ることは難しいと思われます」

浜田弁護士はこのように切り出した。なぜなのか?

「普通の衣類については、購入時からその価値が下がっていきます。たとえば、1万円で購入した衣類を半年後にリサイクルショップ等に持ち込んだ場合、たとえ1度も着用していなくても、購入額より安い金額で引き取られますよね。

今回のようなトラブルに巻き込まれて、衣類を購入したときと同じ金額の弁償を得られるとすると、トラブル時の衣類の価値との差額分だけ得することになってしまいます。これはおかしいでしょう。

トラブル時点での衣類の価値が、損害賠償額を決める基準と考えるべきです」

●いま着ているスーツの「価値」の計算方法

では、どうやってトラブル時点での価値を算定するのだろう?

「基本的には、被害を受けたそれぞれの品について、通常の使用期間を考慮して、トラブル時点までの減価償却を行って算定することになります。使用期間とは、商品購入時から、着用しなくなるまでの平均的な期間のことです。

たとえば、5万円で購入したスーツについて、通常の使用期間が5年であると仮定してみましょう。購入時点からトラブル時までに4年が経過していたら、4年分の価値が減ったものと考えて、トラブル時の価値は1万円と算定します。この場合、スーツ代としては1万円の弁償が得られると考えます。

また、現在では既に購入できない衣類についても、この考え方で『弁償を得られる額』が計算できます」

浜田弁護士はこのように述べていた。相談者には残念な話だが、こうしたトラブルを避けるためにも、泥酔した人にはあまり近づかないほうがいいかもしれない。

【取材協力弁護士】

浜田 諭(はまだ・さとし)弁護士

民事事件(中小企業法務 労働事件 交通事故等)及び家事事件(離婚・相続)を中心に業務を行っている。日弁連弁護士業務改革委員会(信託PT)委員。平成27年4月1日より弁護士法人みなみ総合法律事務所の社員弁護士。

事務所名   :弁護士法人みなみ総合法律事務所

事務所URL:http://www.hamada-law.jp/

(弁護士ドットコムニュース)

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