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「広報担当」で転職したのに全くやらせてもらえない! 会社の法的責任を問える?
2018年04月02日 09時49分

せっかく転職をしたのに、転職先で希望していた業務をやらせてもらえないーー。こんな投稿が弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。

投稿した女性は、これまでの広報業務のキャリアを活かし、転職エージェントを通じて今の会社に入社。面接時も広報業務を担当するということで話を進めていました。しかし、入社1ヶ月で広報業務と呼べるような仕事は皆無。指示されることも、広報業務とはかけ離れた内容だといいます。

女性は「年齢的にも再度の転職はなかなか厳しく、転職後1ヶ月でやめてしまっては履歴書が傷つくだけと思い、毎日耐えている」と話しますが、仕事がなく「ノイローゼになりそう」「キャリアを傷つけられ、不安でほとんど眠ることもできていない」と訴えています。

労働契約書には「仕事内容は広報業務」との記載はなかったそうですが、このような場合だと会社の責任を問えないのでしょうか。吉成安友弁護士に聞きました。

せっかく転職をしたのに、転職先で希望していた業務をやらせてもらえないーー。こんな投稿が弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。

投稿した女性は、これまでの広報業務のキャリアを活かし、転職エージェントを通じて今の会社に入社。面接時も広報業務を担当するということで話を進めていました。しかし、入社1ヶ月で広報業務と呼べるような仕事は皆無。指示されることも、広報業務とはかけ離れた内容だといいます。

女性は「年齢的にも再度の転職はなかなか厳しく、転職後1ヶ月でやめてしまっては履歴書が傷つくだけと思い、毎日耐えている」と話しますが、仕事がなく「ノイローゼになりそう」「キャリアを傷つけられ、不安でほとんど眠ることもできていない」と訴えています。

労働契約書には「仕事内容は広報業務」との記載はなかったそうですが、このような場合だと会社の責任を問えないのでしょうか。吉成安友弁護士に聞きました。

●職種を限定した合意が成立したとは言えない

女性の一番の希望としては、広報業務に就かせてもらいたいということだと思いますが、かなうのでしょうか。

「面接時に広報業務を行うことを前提とした話がされていたとしても、一般論からも、契約書に広報業務と限定するような記載がないことからも、広報業務以外の職種には一切就かせないという職種限定の合意が成立したとまでは、なかなか言えないのではないかと思われます」

過去の裁判では、こうした事案はどのように判断されてきたのでしょうか。

「配置転換命令を争点とした裁判例には、『日産自動車事件』(最高裁平成元年12月7日判決)があります。これは機械工として採用され、20年近く機械工として勤務した労働者が、配転を命じられたという事案です。

裁判所は、職種に限定した合意が成立したとまでは認めることができず、業務上必要がある場合には、必要に応じて個別に同意を得ずに職種の変更などを命令する権限が会社側に留保されていたとみるべきであるとして、配転命令を適法としました」

●慰謝料請求は難しい

女性は、面接時も広報業務を担当するということで話を進めていましたが、入社後、女性は広報業務を担当させてもらえません。この点について、慰謝料請求はできないのでしょうか。

「労働条件が面接時の説明と異なっていったケースについてのある裁判例が参考になります。『日新火災海上保険事件』(東京高裁平成12年4月19日判決)というものです。これは中途採用者に、求人広告や面接、社内説明会で、新卒採用者の平均的給与と同じ待遇を受けられると信じさせかねない説明をしたが、実際にはそのような待遇が受けられなかったという事案です。

裁判所は、『使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない』とする労働基準法第15条1項の違反があるとし、これが不法行為に該当するとした上で、会社に対する慰謝料請求を認めています。ただ、今回の女性の相談のケースは、この裁判例のケースと比べると、簡単ではないと思われます」

業務内容については、労働基準法第15条1項の対象となりえないということでしょうか。

「いえ、労働基準法施行規則第5条には、明示すべき労働条件として『従事すべき業務に関する事項』あげられていますので、業務内容についても対象となりえます」

●違う職種に就かせることもありえることが前提

では、なぜ難しいのでしょうか。

「職種限定の合意が成立したとまではいえないと思われることと関連しますが、職種の決定、変更については会社に権限が留保されています。そのため、面接時の職種についての説明が就職後の実態と異なっていても、ただちに違法とはいえないと思われるからです。

面接時の説明の詳細や現在の業務の具体的な内容など、さまざまな事情を総合的に検討して判断していくことになると思いますが、会社が不法行為責任を負うケースはかなり限定されるのではないかと思われます」

(弁護士ドットコムニュース)

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