16050.jpg
東京都でスクールカウンセラー250人“雇い止め” 「学校現場が混乱」「心理職の軽視」説明求め会見
2024年03月05日 19時05分

学校で児童・生徒や保護者の相談に乗るスクールカウンセラー(SC)について、東京公務公共一般労働組合心理職ユニオンが「東京都は明確な採用基準を示さず不当に250人を不採用にした」として都に説明を求めている。

同ユニオンに所属する33人はこれまで団交を続けてきたが、納得する説明を得られていないという。3月5日には都に要請書を提出した後、6人の現役SCとユニオンの原田仁希氏らが厚生労働省で記者会見した。実質的な“雇い止め”に等しいとした上で、「保護者や子ども、先生など学校に混乱を招く」「私たちは駒じゃない。心理職への軽視だ」と訴えた。

学校で児童・生徒や保護者の相談に乗るスクールカウンセラー(SC)について、東京公務公共一般労働組合心理職ユニオンが「東京都は明確な採用基準を示さず不当に250人を不採用にした」として都に説明を求めている。

同ユニオンに所属する33人はこれまで団交を続けてきたが、納得する説明を得られていないという。3月5日には都に要請書を提出した後、6人の現役SCとユニオンの原田仁希氏らが厚生労働省で記者会見した。実質的な“雇い止め”に等しいとした上で、「保護者や子ども、先生など学校に混乱を招く」「私たちは駒じゃない。心理職への軽視だ」と訴えた。

●ユニオン調査では「雇い止めはベテランに集中」

SCは2020年から会計年度任用職員となり、1年ごとに更新、都では再任用の上限を4年と定めている。2024年3月末で契約満期となる1096人は新たに面接を受けたが250人が不合格となり、1月22日に各自に通達されたという。不合格となった人を中心とした70人ほどからユニオンに相談があった。

ユニオンは1月29日から2月11日まで、インターネットと郵送で独自のアンケート調査を実施。728件の回答を分析した結果、“雇い止め”の対象が10年以上の経験があり高年齢のベテランに集中する傾向があったとした上で、会計年度任用職員の運用についての総務省通知(2023年12月27日発出)に反していると指摘した。

通知では「勤務実績を考慮して選考を行うことは可能で、複数回の任用が繰り返された後に、再度の任用を行わないこととする場合には、事前に十分な説明を行う、他に応募可能な求人を紹介する等配慮をすることが望ましい」としているにもかかわらず、雇用保障は一切ないと訴えた。

●ヤングケアラー、宗教2世…広がる職務の幅

会見に出席したSCからは、不透明な採用基準への疑問や学校現場への影響、スクールカウンセラー制度の将来についての不安の声が相次いだ。

都のSCは基本的に週1回勤務で、年収は1校170万円ほど。他の心理職より待遇が良いため、志望者が多い。主に大学院で心理学を専攻し、資格を取るなど研鑽を積んでいる人たちが多く、子ども向けのメンタルヘルス授業や全員面談など職務の幅も広がっているという。

近年は不登校やいじめ以外にもヤングケアラー、宗教2世などメンタルヘルスにまつわる相談窓口にもなっていると説明したSC歴15年の女性は、自身は合格となったものの、SC自身の雇用が不安定では子供たちの安心を培うことは難しいと訴えた。

「数カ月から数年かけて信頼関係をつくり、ようやく悩みを話してくれたのに、次の年にカウンセラーがいなくなったら、裏切られたような気持ちになる。私たちを人として扱っていないだけでなく、切実な相談ニーズをないがしろにするものではないでしょうか」

他にも「やりがい搾取だ」「現場を無視した機械的な対応」「養護教諭や管理職と体制を整えてきたのに、先生方も困惑している」などという声があった。ユニオンは引き続き、都と団交を行うよう求めているほか、署名 を集めている。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る