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規制改革でテレワーク「深夜割増」撤廃論が浮上、本当に働き方は改善するのか?
2019年05月26日 09時43分

働き方改革の一環として注目されているテレワーク。オフィスに通勤する必要がなくなるため、柔軟な働き方の手段として、期待が集まっている。

テレワークをめぐっては、政府の規制改革推進会議「働き方の多様化に資するルール整備に関するタスクフォース」(主査・八代尚宏)で興味深い議論がなされている。

働き方改革の一環として注目されているテレワーク。オフィスに通勤する必要がなくなるため、柔軟な働き方の手段として、期待が集まっている。

テレワークをめぐっては、政府の規制改革推進会議「働き方の多様化に資するルール整備に関するタスクフォース」(主査・八代尚宏)で興味深い議論がなされている。

●タスクフォース「労働時間を有効に活用して働く選択を阻害している」

タスクフォースがまとめた「働き方の多様化に資するルール整備について」(https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20190510/190510honkaigi03.pdf、5月10日の第44回規制改革推進会議に提出)は、テレワーク推進をめぐる日本の現状について、「厳密な時間管理を求める旧来の労働法の制約が大きく、この抜本的な改革なしには、働き方の多様化は到底進まない」と指摘。

そのうえで、テレワークの推進にあたっては、「『深夜労働(午後10時から翌午前5時)に対する割増賃金(基礎賃金の25%増)』の規定は、弾力的な時間配分が可能なテレワークについても厳格に維持されており、労働者が育児や介護等との両立など個々のニーズに応じて、1日の労働時間を有効に活用して働く選択を阻害している」として、

「(1)所定労働時間の範囲内とすること、(2)月又は週単位の上限時間や回数等の一定の制限を設定すること、(3)インターバル規制の適用等を条件とすること、などの条件のもとで、深夜労働への割増賃金の規制を適用除外とすべきではないか」と提言している。

例えば、家族の介護を行なっている場合などに、夜10時以降に働いて、日中に休養する働き方の方がマッチしている場合もありうるが、割増賃金が発生すると、企業がそのような労働形態を制限して、労働者が深夜労働を断念せざるを得なくなるという意味合いのようだ。

●労働弁護士「持ち帰り残業をさせる使用者が多数現れる危険性」

ただ、適用除外ということになれば、弊害や課題も考えられるだろう。どのような問題があるのか、労働問題に詳しい笠置裕亮弁護士に聞いた。

「現行の法制度のもとでは、通常の働き方であろうと、テレワークであろうと、使用者は労働者の労働時間をきちんと管理・把握し、仮に時間外・休日労働に従事したということであれば、時間数に応じて割増賃金を支払わなければなりません。

時間外労働や休日労働をした場合になぜ割増賃金を支払わなければならないのかと言えば、それは過重労働が労働者の生命や健康に有害であり、残業をなるべく抑制するべきであるからに他なりません」

テレワークについてはどう考えればいいのか。

「現行法の趣旨は、テレワーク従事者には一層強く当てはまると考えます。なぜなら、テレワークの場合、労働者が使用者と離れた場所で勤務をするため、通常のオフィスワーカーと比べて使用者の管理の程度が弱くなる傾向にあることから、長時間労働を招きやすいためです。

テレワークにこのような弊害が存することは、2018年2月22日に厚労省が発表した『情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン』(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/3002221.pdf)の中でも指摘されています。

そうであれば、テレワーク従事者の長時間労働をどう抑制するかという点に目が向けられるべきであり、規制を緩和するようなことはあってはならないと考えます。

現状においてすら、多くの企業において割増賃金がきちんと支払われていないというのが実際のところです。万が一、割増賃金規制が適用除外となってしまえば、制度を悪用し、割増賃金の支払を合法的に免れるべく、業務が終わらない場合には持ち帰り残業をさせるような使用者が多数現れることになるのではないでしょうか。

そのような脱法の危険性を有する規制緩和を、決して許してはならないと考えます」

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