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刑事被告人の「保釈」はどうやって決まる? 身柄が解放されるために必要な条件
2014年03月26日 19時22分

PC遠隔操作事件で威力業務妨害罪などに問われ、現在、刑事裁判を受けている片山祐輔被告人。昨年2月に逮捕されて以来、1年以上にわたって勾留されていたが、3月5日に保釈された。そのときの記者会見で、「自由というのはまぶしいものだな」と発言し、注目を集めた。

だが、その保釈は、スムーズに実現したわけではなかった。3月4日に東京高裁が保釈決定をした際には、メディア関係者の間にも「ついに保釈か」という空気が流れたが、検察が粘り腰をみせたのだ。保釈決定に対する異議申立てとして、最高裁への「特別抗告」という手続きをとったうえで、最高裁の判断が出るまで被告人を保釈しないよう、東京高裁に迫ったのだ。

東京高裁は特別抗告を受けて、いったんは「保釈しない」と決定した。しかし、翌5日になってその決定を取り消し、結局、片山被告人を保釈した。なお、最高裁は7日になって、検察の特別抗告を棄却し、高裁の保釈許可が確定している。

なんともややこしいことになったが、そもそも「保釈」とはどういった制度なのだろうか。また、なぜ片山被告人の保釈をめぐる決定は二転三転したのだろうか。元検事として、捜査の内情をよく知る落合洋司弁護士に聞いた。

PC遠隔操作事件で威力業務妨害罪などに問われ、現在、刑事裁判を受けている片山祐輔被告人。昨年2月に逮捕されて以来、1年以上にわたって勾留されていたが、3月5日に保釈された。そのときの記者会見で、「自由というのはまぶしいものだな」と発言し、注目を集めた。

だが、その保釈は、スムーズに実現したわけではなかった。3月4日に東京高裁が保釈決定をした際には、メディア関係者の間にも「ついに保釈か」という空気が流れたが、検察が粘り腰をみせたのだ。保釈決定に対する異議申立てとして、最高裁への「特別抗告」という手続きをとったうえで、最高裁の判断が出るまで被告人を保釈しないよう、東京高裁に迫ったのだ。

東京高裁は特別抗告を受けて、いったんは「保釈しない」と決定した。しかし、翌5日になってその決定を取り消し、結局、片山被告人を保釈した。なお、最高裁は7日になって、検察の特別抗告を棄却し、高裁の保釈許可が確定している。

なんともややこしいことになったが、そもそも「保釈」とはどういった制度なのだろうか。また、なぜ片山被告人の保釈をめぐる決定は二転三転したのだろうか。元検事として、捜査の内情をよく知る落合洋司弁護士に聞いた。

●「保釈後」に収監されることも・・・

「保釈は、起訴後に勾留されている被告人の身柄拘束を解く、刑事訴訟法上の制度です。

弁護人などからの請求により行われる場合と、裁判官の職権で行われる場合がありますが、請求に基づく場合がほとんどです」

身柄が解放されるということだが、どういう性質のものなのだろうか。

「保釈許可が出ると、裁判所により一定の金銭納付が命じられ(保釈保証金)、事件関係者との接触禁止などの条件が付されたうえで、一般社会で生活できるようになります。

ただし、保釈はいわゆる『無罪放免』とは違いますので、こうした条件に違反すると保釈が取り消され、保釈保証金の全部または一部が没取されたうえで、収監されることになります。また、後に実刑判決が出れば、収監されることになります。

それでも、被告人にとって身柄の拘束が解かれる利益は大きく、起訴後は強く保釈が求められることになるのが普通です」

●検察の特別抗告は「極めて異例」だった

保釈の際には、今回のようなすったもんだも、よくあるものなのだろうか?

「PC遠隔操作事件では、第1回公判後、審理を担当する東京地裁が弁護人の保釈請求を却下し、弁護人の抗告を東京高裁が認めたものの、検察官が最高裁判所に特別抗告をしました。

この『特別抗告』は本来、憲法違反や判例違反が理由になるもので、保釈許可に対して検察官が特別抗告するのは極めて異例です」

その時点で、すでに十分異例の展開だったわけだが・・・。さらなるゴタゴタはどうして起きたのだろうか。

「その部分は手続きのミスで、東京高裁がいったん保釈の執行停止を命じたものの、本来は『東京高検』が行うべき特別抗告や執行停止申立を、『東京地検』がミスして行っていたことが後に判明し、執行停止取消、保釈という異例の展開をたどったのです」

なんとも、複雑な事態が起きたと言えそうだが・・・落合弁護士は「事件も特異ですが、被告人の身柄についても、異例の事態が起きたと言えると思います」と振り返っていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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