2029.jpg
イラク戦争の検証報告書、全文開示認めず 国家リスクと知る権利のはざま…東京地裁
2018年11月20日 19時33分

外務省がまとめたイラク戦争の検証報告書をめぐり、都内のNPO法人が情報公開を求めていた裁判の判決で、東京地裁(朝倉佳秀裁判長)は11月20日、NPO法人の訴えを退けた。

報告書は、2012年に取りまとめられたもの。NPO法人「情報公開クリアリングハウス」(三木由希子理事長)が情報開示を請求したが、外務省が不開示としたため、裁判になっていた。

裁判の途中、外務省は全部不開示とする決定を2回変更し、報告書の内容を3分の1ほど明らかにしている。三木理事長によると、この一部開示により報告書が17ページしかなかったことなどが分かったという。

三木理事長は、判決後の記者会見で、「17ページの割に項目数が多く、一般的な話も多い。不開示の部分に外交・防衛上の危機に当たることが書き込めるとは思えない」と述べた。控訴も検討するという。

外務省がまとめたイラク戦争の検証報告書をめぐり、都内のNPO法人が情報公開を求めていた裁判の判決で、東京地裁(朝倉佳秀裁判長)は11月20日、NPO法人の訴えを退けた。

報告書は、2012年に取りまとめられたもの。NPO法人「情報公開クリアリングハウス」(三木由希子理事長)が情報開示を請求したが、外務省が不開示としたため、裁判になっていた。

裁判の途中、外務省は全部不開示とする決定を2回変更し、報告書の内容を3分の1ほど明らかにしている。三木理事長によると、この一部開示により報告書が17ページしかなかったことなどが分かったという。

三木理事長は、判決後の記者会見で、「17ページの割に項目数が多く、一般的な話も多い。不開示の部分に外交・防衛上の危機に当たることが書き込めるとは思えない」と述べた。控訴も検討するという。

●裁判所も何が書いているか知らない

国防や外交などの情報公開は、国にとってリスクになりえるため、情報公開法でも不開示について行政側に広い裁量を認めている(同5条3号)。

反面、行政側がリスクを強調し、情報公開に消極的になれば、国民の知る権利が損なわれたり、適切な事後検証ができなくなったりする恐れがある。

開示しても問題ない情報まで、非公開にしていないかーー。三木理事長にはそんな問題意識があったという。

情報公開をめぐる裁判では、裁判所も不開示部分に何が書かれているか分からず、行政側の言い分を前提とした判断にならざるをえない部分がある。

弁護団長の秋山幹男弁護士は、裁判所が文書の内容を確認した上で審理する「インカメラ審理」を導入すべきと話した。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る