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男性部下に「ハグ&キス」を強要する「40代女性上司」、注意しても逆ギレ
2018年04月07日 09時07分

女性上司が男女問わず社員全員に抱きつきキスをしてくるーー。こんな上司の行為についての相談が弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。

相談者によると、40代の女性上司が会社の歓送迎会や忘年会、新年会などの飲み会で、執拗に社員に抱きついてキスをしてくるそうです。拒むと興奮して激しく怒ることから「皆嫌々ながら受け入れるしかない状況」だと言います。

さらに、この女性上司にやめて欲しいとやんわり伝えても「コミュニケーション能力が低い」と逆に怒られるといった始末で、相談者は困り果てている様子。飲み会の場で酔った勢いで行われる行為も、セクハラとして訴えることはできるのでしょうか。岩城穣弁護士に聞きました。

女性上司が男女問わず社員全員に抱きつきキスをしてくるーー。こんな上司の行為についての相談が弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。

相談者によると、40代の女性上司が会社の歓送迎会や忘年会、新年会などの飲み会で、執拗に社員に抱きついてキスをしてくるそうです。拒むと興奮して激しく怒ることから「皆嫌々ながら受け入れるしかない状況」だと言います。

さらに、この女性上司にやめて欲しいとやんわり伝えても「コミュニケーション能力が低い」と逆に怒られるといった始末で、相談者は困り果てている様子。飲み会の場で酔った勢いで行われる行為も、セクハラとして訴えることはできるのでしょうか。岩城穣弁護士に聞きました。

●被害者が男性や同性であっても、セクハラになりうる

「今回の相談では、セクハラか否かの判断において、(1)被害者が男性や同性の場合も『セクハラ』に該当するか、(2)飲み会の場における酔った勢いでの言動も『セクハラ』に該当するか、の2点が問題となります」

岩城弁護士は今回の相談のポイントをそう説明します。まずは、セクハラの定義について、教えてください。

「男女雇用機会均等法第11条によると、セクハラとは、職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、『それを労働者が拒否することで労働条件について不利益を受けること』(対価型セクハラ)または、『そのような言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者が就業する上で見過ごすことができない程度の支障が生じること』(環境型セクハラ)と定義されています。

ここでそれぞれ注意すべきポイントがあります。

(1)についてですが、被害者としては『労働者』とされているのみで、性別による被害者の限定がされていません。そのため、被害者が男性や同性であっても、その意に反するものであればセクハラとなります。

そして、(2)については、『職場』とは、通常の意味よりも広く捉えられています。つまり、普段働く場所に限らず、職場の人間関係が続いている場所であれば『職場』に該当します。そのため、一般的には会社の公式行事の色合いが濃い、歓送迎会などの飲み会の場は『職場』と捉えられます」

●この上司の言動は「環境型セクハラ」

今回の事案ですが、セクハラにあたるのでしょうか。

「今回は被害者が男女問わず社員全員であることなどを踏まえると、この上司の行為によって『職場』(歓送迎会などの飲み会の場)の環境が不快なものとなったため、労働者が就業する上で見過ごすことができない程度の支障が生じているといえます。

よって、相談者が男性であれ、上司と同じ女性であれ、この上司の言動は『環境型セクハラ』に該当すると考えられます。

一般的には男性から女性への言動がセクハラとして問題視されることから、女性上司が自身の行動をセクハラとして認識できていないおそれもあります。そのため、拒絶の意思はやんわりと伝えるのではなく、明確に伝えるべきです」

●相談する際には、証拠として残しておく必要がある

それでも上司がセクハラを続ける場合は、どうしたらいいのでしょうか。

「他の部署の上司やセクハラの相談窓口、総務などの適当な部署に相談しましょう。男女雇用機会均等法第11条1項では、使用者(会社・雇い主)は、労働者からセクハラの報告があった場合には、必ずその労働者からの相談に応じなければならないとされています。

しかし、会社が何らの対応もしてくれない場合は、最寄りの労働局でセクハラの相談をし、紛争解決援助の申立を行う(男女雇用機会均等法第17条1項)ことや紛争解決委員会による調停を利用する(男女雇用機会均等法第18条1項)といった手段も考えられます。

労働局に相談する場合にはセクハラの証拠として、セクハラの現場を撮影した動画などの記録やセクハラの状況を記録した日記を残しておく必要があります」

(弁護士ドットコムニュース)

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