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15年前の痴漢事件「やってない」と再審請求――周防正行監督が「再現ビデオ」制作
2015年02月05日 21時03分

電車内で痴漢をしたとして懲役1年6月の有罪判決が確定し、刑務所で服役した小泉知樹さん(46)が2月5日、東京地裁に再審請求を行った。小泉さんは、弁護団らと東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開き、「やってないものはやってない」と、無実を訴えた。

会見には、痴漢えん罪の問題を描いた映画「それでもボクはやってない」の周防正行監督も同席した。再審請求のための新しい証拠となる「再現ビデオ」を制作した周防監督は、被害者の証言の不自然さを指摘し、「小泉さんはやってないと信じている」と語った。

電車内で痴漢をしたとして懲役1年6月の有罪判決が確定し、刑務所で服役した小泉知樹さん(46)が2月5日、東京地裁に再審請求を行った。小泉さんは、弁護団らと東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開き、「やってないものはやってない」と、無実を訴えた。

会見には、痴漢えん罪の問題を描いた映画「それでもボクはやってない」の周防正行監督も同席した。再審請求のための新しい証拠となる「再現ビデオ」を制作した周防監督は、被害者の証言の不自然さを指摘し、「小泉さんはやってないと信じている」と語った。

●周防監督「やってないと信じている」

小泉さんは2000年5月30日の朝、京浜急行の電車内で、女子高生のスカートの中に手を入れ、陰部を触ったなどとして逮捕された。その後、強制わいせつ罪で有罪となり、懲役1年6月の刑を受け服役、2004年に出所した。

主任弁護人を務める今村核弁護士は「有罪判決の証拠構造はきわめて脆弱だ」と指摘。「小泉さんは右手にバイク事故の後遺障害があり、右肘や右手首を動かせる範囲が狭いので、女子高生が証言したような形で触るのは不可能か、著しく不自然だ」と話した。

確定判決では、こうした主張が退けられた。しかし弁護団は、再審請求にあたって鑑定を行い、新証拠として提出した。鑑定は、順天堂大学の柳谷登志雄准教授が右手の可動域を3次元測定したほか、筋肉が自由に動かせないことを筋電図によって示したり、骨に変形があることを赤外線照射による骨格映像で示したという。

さらに、その鑑定内容が具体的にイメージしやすいように「再現ビデオ」が作られた。制作したのは、映画「それでもボクはやってない」で痴漢の容疑をかけられた青年の裁判を描いた周防正行監督だ。小泉さんは、映画のモデルの一人だという。今回は2日間かけて撮影を行い、それを1時間程度の映像にまとめたという。

会見に同席した周防監督は「順天堂大学の学生10人に協力してもらって、証言通りの行為をするためには、どういう身体の使い方をしなければならないのか、再現ビデオを制作した。もし満員電車の中でそういう触り方ができたとしても、周りの人が気づいたはず。密かに触るなんてできないはずだ。小泉さんはやってないと信じている」と話した。

●「痛みがあったはず」

今村弁護士によると、小泉さんと女子高生は当時、それぞれの右半身が重なるような形で、向かい合わせに立っていたという。

「女子高生はその状態から、スカートの中に右手を入れられ、パンツの右側から指を差し挟む形で、陰部の中に指を入れられたと供述した。女子高生は、1~2分間『(指を)上下に動かされた』『出したり入れたりされた』『第一関節よりちょっと深く入った』などと証言している。

女子高生は『性交体験がない』と述べている。そんな風に触られれば痛みを感じるはずだが、『気持ち悪かったです』としか表現していないのは不自然。膣内が傷ついた可能性もあるはずなのに、医師の診察を受けていない」

今村弁護士はこのように指摘し、痛みについて、産婦人科医や医学部教授の鑑定を新証拠としたという。また、女子高生の供述には不自然な点や変遷があるとして、専門家による供述心理鑑定を出したという。

●「やってないことはやってない」

刑の執行完了から10年以上の年月を経て、再審請求を行った小泉さんは、「再審請求は開かずの扉と言われているが、今日、それをノックすることができた」と感慨深げに話し、関係者に感謝を述べた。

小泉さんは「裁判では、そんな証拠はないのに、裁判官に『こういう体勢だったらできるだろう』と勝手に決めつけられ、有罪とされた。諦めて、裁判とは無縁の世界に身を置いて、ひっそり生きていくこともできたが、妻や子どもに対して嘘をついた父親として過ごしたくなかった。『やってないことはやってない』と、何とか証明できたらと思う」と、力を込めていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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