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無資格で「弁理士業務」の男を逮捕・・・申請した「特許」や「商標」は有効なのか?
2013年07月24日 15時38分

死亡した弁護士の名前で商標登録出願などの業務代行をしていた70代男の行政書士が、弁理士法違反の疑いで逮捕された。商標登録や特許の出願代行は「弁理士業務」とされ、本来できるのは弁理士と弁護士などの有資格者だけに限られる。

報道によると、逮捕容疑は2011年3月から2012年10月にかけて、東京都内の電子機器メーカーや菓子販売業者から、特許や商標の申請を無資格で請け負い、計約44万円を受け取った疑いがもたれている。警察では、同じ弁護士事務所で働いていた米国籍の弁護士が05年11月に死亡したのを隠して、代わりに依頼を受け続け、その後、約2000件の商標登録や特許出願を不正に行って、約3億5000万円の報酬を得たと見ているという。

この行政書士は容疑を認め、「生活のため依頼を断れなかった」と供述しているというが、それにしてはずいぶんな額に思える・・・・。さて、今回のように無資格の人が弁理士業務を行っていたと明らかになった場合、それまで申請され、登録されてきた特許や商標はどう扱われるのだろうか。特許申請にくわしい冨宅恵弁護士に聞いた。

●申請請負人が「無資格」でも、登録済みや手続中の特許・商標に悪影響はない

「結論からいうと、申請を請け負ったのが無資格者だったとしても、すでに登録された特許や商標の効力には影響ありません。出願者が有資格者かどうかは、特許や商標の登録要件にもなっていないし、登録を行ってはならない理由でもないからです」

――特許庁の審査は何を見ている?

「特許庁の審査官は特許や商標などの登録時、次の2つの観点からチェックを行います。

(1)法律で定められた登録要件が備わっている

(2)登録を行ってはならない理由が存在しない

そして、これらがクリアされていれば、審査官は原則的には出願された特許や商標等を登録しなければなりません。そして、いったん審査官が登録の決定を行ったら、その後は法律上有効な特許や商標等として取り扱われることになります。申請者が資格を持っていたかどうかは、審査とは直接関係なく、あとから無資格が発覚した場合も、登録は無効になりません」

――では、手続き中の場合は?

「問題ありません。依頼者が出願を請け負った無資格者と交わした『委任契約』は無効になりますが、特許法や商標法には、こういう場合の規定がちゃんとあります。依頼者が、無資格者の出願手続を『追認』すれば、それまでの手続は有効とされるのです。

そして、続きは自分でやるか、資格を持っている人に引き継げばOKです。なお、最初の『委任契約』は無効となるので、無資格者に報酬を支払う必要はありません」

――実は、たいした問題ではなかった?

「いえ、そんなことはありません。そもそも特許や商標等の申請請負は専門性が高く、大きなトラブルを引き起こしかねない、とても繊細な業務です。弁理士法によって、有償で業務請負ができるのが弁理士や弁護士に限られているのは、そういう理由です。

違反すれば、懲役1年または100万円以下の罰金という刑事罰もあります。今回は報道によると、長期にわたって、多額の報酬を得ているようですから、有罪になれば罰金刑で済むということはないと思いますし、執行猶予を得られるかについても非常に微妙であると思います」

(弁護士ドットコムニュース)

死亡した弁護士の名前で商標登録出願などの業務代行をしていた70代男の行政書士が、弁理士法違反の疑いで逮捕された。商標登録や特許の出願代行は「弁理士業務」とされ、本来できるのは弁理士と弁護士などの有資格者だけに限られる。

報道によると、逮捕容疑は2011年3月から2012年10月にかけて、東京都内の電子機器メーカーや菓子販売業者から、特許や商標の申請を無資格で請け負い、計約44万円を受け取った疑いがもたれている。警察では、同じ弁護士事務所で働いていた米国籍の弁護士が05年11月に死亡したのを隠して、代わりに依頼を受け続け、その後、約2000件の商標登録や特許出願を不正に行って、約3億5000万円の報酬を得たと見ているという。

この行政書士は容疑を認め、「生活のため依頼を断れなかった」と供述しているというが、それにしてはずいぶんな額に思える・・・・。さて、今回のように無資格の人が弁理士業務を行っていたと明らかになった場合、それまで申請され、登録されてきた特許や商標はどう扱われるのだろうか。特許申請にくわしい冨宅恵弁護士に聞いた。

●申請請負人が「無資格」でも、登録済みや手続中の特許・商標に悪影響はない

「結論からいうと、申請を請け負ったのが無資格者だったとしても、すでに登録された特許や商標の効力には影響ありません。出願者が有資格者かどうかは、特許や商標の登録要件にもなっていないし、登録を行ってはならない理由でもないからです」

――特許庁の審査は何を見ている?

「特許庁の審査官は特許や商標などの登録時、次の2つの観点からチェックを行います。

(1)法律で定められた登録要件が備わっている

(2)登録を行ってはならない理由が存在しない

そして、これらがクリアされていれば、審査官は原則的には出願された特許や商標等を登録しなければなりません。そして、いったん審査官が登録の決定を行ったら、その後は法律上有効な特許や商標等として取り扱われることになります。申請者が資格を持っていたかどうかは、審査とは直接関係なく、あとから無資格が発覚した場合も、登録は無効になりません」

――では、手続き中の場合は?

「問題ありません。依頼者が出願を請け負った無資格者と交わした『委任契約』は無効になりますが、特許法や商標法には、こういう場合の規定がちゃんとあります。依頼者が、無資格者の出願手続を『追認』すれば、それまでの手続は有効とされるのです。

そして、続きは自分でやるか、資格を持っている人に引き継げばOKです。なお、最初の『委任契約』は無効となるので、無資格者に報酬を支払う必要はありません」

――実は、たいした問題ではなかった?

「いえ、そんなことはありません。そもそも特許や商標等の申請請負は専門性が高く、大きなトラブルを引き起こしかねない、とても繊細な業務です。弁理士法によって、有償で業務請負ができるのが弁理士や弁護士に限られているのは、そういう理由です。

違反すれば、懲役1年または100万円以下の罰金という刑事罰もあります。今回は報道によると、長期にわたって、多額の報酬を得ているようですから、有罪になれば罰金刑で済むということはないと思いますし、執行猶予を得られるかについても非常に微妙であると思います」

(弁護士ドットコムニュース)

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