5430.jpg
ヤマト運輸下請けで暴力、ドライバー労災認定 トラックに叩きつけられ、精神疾患に
2020年01月30日 15時49分

ヤマト運輸の下請け会社で働いていた30代男性が、同僚からの暴力などが原因で精神疾患を発症したとして、池袋労働基準監督署に労災認定されたことがわかった。男性と労働組合が1月30日、記者会見を開き明らかにした。認定は2019年11月22日付。

同僚は罰金10万円の略式命令を受けたが、現在も勤務しているという。男性は「事件後しばらくは全く寝れず、1時間程度で起きる日々が続いていた。少なからず人生が狂わされた。社会が加害者を野放しにしていることはおかしい」と訴えた。

ヤマト運輸の下請け会社で働いていた30代男性が、同僚からの暴力などが原因で精神疾患を発症したとして、池袋労働基準監督署に労災認定されたことがわかった。男性と労働組合が1月30日、記者会見を開き明らかにした。認定は2019年11月22日付。

同僚は罰金10万円の略式命令を受けたが、現在も勤務しているという。男性は「事件後しばらくは全く寝れず、1時間程度で起きる日々が続いていた。少なからず人生が狂わされた。社会が加害者を野放しにしていることはおかしい」と訴えた。

●同僚から暴行「ボコボコにしてやるから」

男性の加入する「労災ユニオン」によると、男性が働いていたのは有限会社栄光運輸(東京都豊島区)。主にヤマト運輸の下請けをしている。男性は2016年8月、法人や物流会社に集荷するドライバーとして入社した。

2018年9月、男性が同僚に業務連絡した際に因縁をつけられ、埼玉県内の駐車場で一方的な暴行を受けた。トラックから強引に降ろされ、「ボコボコにしてやるから、警察でも呼んでみろ」などと言われながら、トラックに体を叩きつけられたという。

男性は背中の打撲など全治2週間のけがを負い、精神科で不眠症などの診断を受けた。

男性は被害から数日後、警察に相談。担当刑事から「報復が考えられるため、被害届の提出はよく考えてからしたほうがいい」と説明されたが、2018年10月に被害届を提出。さいたま地検は加害者の同僚を傷害の罪で略式起訴し、さいたま簡裁は2019年3月、罰金10万円の略式命令を出した。

男性は2019年4月に退職したが、現在も抑うつなどの症状が続いており、仕事を再開できていないという。

栄光運輸は弁護士ドットコムニュースの取材に「担当者が不在」と答えた。

●ユニオンが無料相談ホットライン開催

池袋労基署は、男性が治療を要する程度の暴行を受けたことが原因で、精神障害を発病したとして、3段階ある心理的負荷は「強」と評価した。「労災ユニオン」の佐藤学さんは「職場の暴力に関する相談は、刑事罰になるものも増えてきている」と話した。

「労災ユニオン」は2月1、2日に「職場の暴力無料労働相談ホットライン」を開催する。受付時間は13時〜17時で、番号は0120-333-774。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る