6885.jpg
「パリーン」お店で割ってしまったグラス、客が弁償しないのは「当たり前」?
2020年03月25日 10時00分

店内に響く、「パリーン」という鋭い音。飲食店でグラスを割ってしまい、周囲の視線を集めてしまった経験はないでしょうか。

こんなときは、ホールのスタッフが「おけがはありませんでしたか」なんて、駆け寄ってくることが一般的です。「弁償しろ」と言われることはあまりないでしょう。しかし、グラスやお皿が割れれば、店にとっては損失ですよね。

客が弁償しないのは当たり前なんでしょうか。それとも店の経営判断で請求されていないだけなんでしょうか。多くの飲食店で顧問を務めている石崎冬貴弁護士に聞きました。

店内に響く、「パリーン」という鋭い音。飲食店でグラスを割ってしまい、周囲の視線を集めてしまった経験はないでしょうか。

こんなときは、ホールのスタッフが「おけがはありませんでしたか」なんて、駆け寄ってくることが一般的です。「弁償しろ」と言われることはあまりないでしょう。しかし、グラスやお皿が割れれば、店にとっては損失ですよね。

客が弁償しないのは当たり前なんでしょうか。それとも店の経営判断で請求されていないだけなんでしょうか。多くの飲食店で顧問を務めている石崎冬貴弁護士に聞きました。

●あくまで「店のサービス」

ーー法的には客が弁償しないのは当然なのでしょうか?

お客様の過失でお店の備品を壊せば、法的には、損害賠償義務が発生します。

お店がそれを請求しないのは、皿やグラスは消耗品ですし、価値が大きくないことがほとんどであるためです。

法的には賠償しなければならないが、事実上、お店が請求することは少ない、ということですね。

ーーだとしたら、壊れたものが高額だった場合は?

先ほど述べたように、法的には、お客様が賠償しなければならないのを、お店が今後の来店に期待して、いわばサービスとして請求していないというだけです。

高額な備品であれば、お店が請求するということは当然ありえます。

ーーその場合、全額を支払うことになるのでしょうか?

食器などの消耗品については、基本的に減価償却した後の時価評価額です。修理できるものは修理費用になります。

●数万円レベルだと請求されることが多い

ーー飲食店の顧問をしていて、どんなときに請求されることが多いと感じますか?

実務的にも、酔っぱらって壁や窓ガラスを壊すなど、数万円レベルの被害になると、お客様に請求することが多いと思います。

実際に当方で扱ったケースでは、「記憶がない」とか、連絡が取れなくなり、すぐに請求に応じてくれないお客様もいました。

薄利多売である飲食店にとって、修理費用の負担は小さくありませんので、顧問弁護士である私や警察も交えて、解決しようとすることもあるのです。

その後もうまく付き合っていくために、お店とお客様でよく話し合って解決することをお勧めします。

ーー客としては、弁償を求められないのは、「あくまでもサービス」であることを忘れず、店とよい関係を築けるよう振る舞いたいものですね

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る