7146.jpg
男湯に入ってくる「女性清掃員」、男性客は困惑…法的には?
2019年04月17日 09時50分

スーパー銭湯の男湯に、若い女性清掃員が入ってきて非常に不快ーー。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられました。

相談者の男性がリフレッシュするためにスーパー銭湯を利用した際、男湯に若い女性清掃員が入ってくることがありました。中には笑みをこぼしている女性もいて、「非常に不快な思いをした」と訴えています。

仕事内容は、マットやシャンプーの交換など男女問わず誰でもできることでした。さらに施設には男性従業員もいる中、なぜか女性の従業員が男湯に作業に入ってくるそうです。

相談者は、「日本社会において、男性にプライバシーというものはないのでしょうか」と憤っています。

銭湯や温泉施設で異性の従業員が入ってくることは、問題ないのでしょうか。大久保誠弁護士に聞きました。

スーパー銭湯の男湯に、若い女性清掃員が入ってきて非常に不快ーー。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられました。

相談者の男性がリフレッシュするためにスーパー銭湯を利用した際、男湯に若い女性清掃員が入ってくることがありました。中には笑みをこぼしている女性もいて、「非常に不快な思いをした」と訴えています。

仕事内容は、マットやシャンプーの交換など男女問わず誰でもできることでした。さらに施設には男性従業員もいる中、なぜか女性の従業員が男湯に作業に入ってくるそうです。

相談者は、「日本社会において、男性にプライバシーというものはないのでしょうか」と憤っています。

銭湯や温泉施設で異性の従業員が入ってくることは、問題ないのでしょうか。大久保誠弁護士に聞きました。

●プライバシー侵害、建造物侵入罪が考えられるが

私もたまに温泉の大浴場で女性従業員が清掃のために入ってくる場面に遭遇しますが、この相談者のように不快な思いをしたことはありません。これまで考えてきませんでしたが、これを機に法的に考えてみたいと思います。

これが貸切の浴室であれば、自宅と同じく家族外の者が入ってくることは許されるものではないと考えられます。他人の住居や建造物を覗く行為は、立ち入りが禁止された場所に侵入しているため、建造物侵入罪(刑法130条)が成立する可能性があります。

また、公共の場所での覗き行為は、各都道府県が定める迷惑防止条例に違反することになります。公共の場所以外であっても、軽犯罪法にも違反する可能性があります。

つまり、異性・同性を問わず、従業員が浴場や脱衣所に入ってくることは、プライバシー侵害の観点から問題が生じると考えられなくもなさそうです。

しかし、あくまでも法律上はそう検討できなくもない、という仮説です。

●「プライバシーの侵害とは考えがたい」

ーーどういうことですか

大浴場であれば、他の客がいて、お互いの裸体を見られることが前提になっており、自宅や個室の浴室と比べるとプライバシーの権利は弱まっているとも考えます。

今回のケースで言えば、清掃の作業は通常、短時間で終了します。特定の男性の裸体をジロジロと見ない限り、男湯に女性従業員が清掃のため入室することは「正当な業務」です。違法性があるとまでは言えず、プライバシーの侵害とは考えがたいと思われます。

しかし、異性に裸体を見られることに不快感を感じる方もいます。清掃のために入室する場合であっても、同性の従業員に限る方がこれからはベターと言えるでしょう。施設側には、そのような配慮が求められると考えます。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る