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「牛すき鍋」と「大雪」――すき家社員「残業時間」急増の背景にあるキーワード
2014年08月03日 10時22分

過酷な勤務実態が指摘されている牛丼チェーン「すき家」の労働問題。すき家を運営するゼンショーホールディングスが7月31日に発表した第三者委員会(委員長:久保利英明弁護士)の調査報告書を読み解くと、今年に入ってから一段と厳しさを増した現場の姿が見えてくる。

報告書には、管理監督者以外の、現場で働く正社員や契約社員の平均残業時間が記載されている。これをグラフにしてみたところ、今年1月以降、急激に伸びていることが分かった。

2013年10月から徐々に増加するようになった残業時間は、14年に入ってからペースアップ。1月に約68時間、2月には約80時間にまで達した。その後も、3月90時間、4月にはついに100時間を突破して、約109時間を記録した。その後は約86時間に下がっている。

この残業時間急増の背景には、何があったのだろうか。

過酷な勤務実態が指摘されている牛丼チェーン「すき家」の労働問題。すき家を運営するゼンショーホールディングスが7月31日に発表した第三者委員会(委員長:久保利英明弁護士)の調査報告書を読み解くと、今年に入ってから一段と厳しさを増した現場の姿が見えてくる。

報告書には、管理監督者以外の、現場で働く正社員や契約社員の平均残業時間が記載されている。これをグラフにしてみたところ、今年1月以降、急激に伸びていることが分かった。

2013年10月から徐々に増加するようになった残業時間は、14年に入ってからペースアップ。1月に約68時間、2月には約80時間にまで達した。その後も、3月90時間、4月にはついに100時間を突破して、約109時間を記録した。その後は約86時間に下がっている。

この残業時間急増の背景には、何があったのだろうか。

●「牛すき鍋」と「大雪」でバイトの48時間勤務まで発生

第三者委員会がまとめた報告書に当時の背景として記載されているのが、2014年2月に投入された「牛すき鍋」だ。オペレーションが複雑で、現場の負担が増したという。

報告書には「現場への負荷を懸念する声が本部に十分伝わることなく、本部が牛すき鍋の仕込みに係る時間を甘く見積もって牛すき鍋投入を決定した結果、現場のオペレーションが十分機能せず、クルー(注:アルバイトのこと)や現場社員のサービス残業・長時間労働が増加し、現場は疲弊した」と描かれている。

さらに、現場を追いつめる契機となったのが、2月に2度にわたって首都圏を襲った記録的な「大雪」だ。多くのバイトが店舗から帰宅できず、交代要員も出勤できなくなったという。このときの過酷な状況について、報告書ではこう説明している。

「幹部は大雪により発生したトラブルへの対応に追われ、店舗を一時休業するなどの措置が取られることはなかったため、中には帰宅できないクルーが48時間勤務するといったことも多数生じた。この大雪を契機に、クルーの不満が爆発し、クルーの稼働率及び人数が益々減少した」

48時間勤務というのは、想像を絶する状態だ。それをきっかけに、バイトが次々と辞めていったとしても仕方ないといえるだろう。

「それによって、AM(注:正社員の「エリア・マネジャー」)・ZM(注:正社員の「ゾーン・マネジャー」)は、店舗運営のためのシフトを組めず、自身がシフトに入らざるを得ない状況に陥り、過重な負担を負った」

●ついに社員も無断欠勤、予期せぬ休業まで発生

このような状況に対して、バイトだけでなく、正社員や契約社員も耐えられなくなった。

「多くのAM・ZMが退職し、又は無断欠勤した上で行方をくらますなどして、残ったAM・ZMに更なる負担をかけた。その結果、多くの店舗において、運営できなくなるほどの人手不足に陥り、2014年2月中旬から店舗のイレギュラークローズ(計画されていない店舗の一時休業・時間帯休業)が起き始め、2月の最終週にはその数が10店舗に達した」

報告書に記載された社員退職数(正社員、契約社員)のデータを見ると、1月に19人、2月に16人だった退職者数は、3月には33人に急増している。以後、4月24人、5月20人と高い水準が続いた。

不満がたまったバイトが現場から離脱。そのしわ寄せがきた正社員や契約社員も耐えられなくなり、さらに現場が疲弊する。その結果、数多くの店舗がイレギュラーな休業に追い込まれていった。こうした「負のスパイラル」ともいえる状況に有効な手を打てなかったことが、社会から多くの批判を集める結果を招いたといえそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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