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「母の日」のプレゼントが指定日に届かなかった! 補償を要求できるか?
2013年05月11日 12時12分

今年の「母の日」は5月12日――。求人情報誌「an」が男女1000人を対象に行った調査によると、男性の約7割、女性の約9割が「母の日」にプレゼントを渡したことがあるという。「父の日」とくらべても「母の日」がより重要と答える人が多く、プレゼント代の平均額も高い。

最近では、オンラインショップの充実で、プレゼント選びがより気軽になった。一方で、注文が多くなれば、ショップ側の見落としや、運送会社の配送ミスが起きるとも限らない。まったく届かないなら返金してもらえるかもしれないが、数日遅れで届いた場合はどうだろう。「『母の日』じゃなかったら、買わなかったのに……」。そんな不満が出て来るに違いない。

はたして、時間をかけて選びに選んだプレゼントが「母の日」当日までに届かなかったとしたら、購入した人はショップや運送会社から何らかの補償を受けられるのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。

●キャンセルして、代金の返還を求めることができる

たとえば、花屋さんが『母の日ギフト』と銘打って花を売っているような場合、『母の日』に届かなければ、購入した人はその花を買った目的を達することができないことになる。秋山弁護士はこのようなケースを想定しながら次のように法的に解説する。

「契約の性質や当事者の意思表示によって、特定の日時または一定の期間内に履行されなければ、契約の目的を達成できない行為を『定期行為』といいます。

定期行為の場合、当事者の一方が履行しないで、その時期を経過したときは、相手方は、催告(催促)をすることなく、直ちにその契約を解除できます(民法542条)」

つまり、プレゼントが母の日になっても届かなければ、購入者は契約を解除(キャンセル)して、代金の返還を求めることができるということだ。

秋山弁護士によると、「『母の日ギフト』は、定期行為にあたる可能性が高い」という。さらに、「必ず母の日までに届けてください』」と念押しをしておけば、確実に「定期行為」となるそうだ。ただし、キャンセルすれば品物は返却する必要がある。

●慰謝料は、認められるとしても少額の可能性が大きい

一方で、秋山弁護士は「『運送事情によって、母の日までに配達が間に合わないことがありますが、よろしいですか』といった説明をショップから受け、それでも契約をした場合は、「『定期行為』とは言えなくなってしまう可能性が高い」とも説明する。

では、『母の日』当日にプレゼントが届かなかった購入者は、キャンセルするだけでなく、損害賠償を求めることもできるのだろうか?

「損害賠償として慰謝料の請求も考えられますが、認められるとしても少額だと思います。なお、運送会社とは契約関係がありませんので、上記のような請求は困難でしょう」

商品の選択肢が大幅に広がり、便利な世の中になったが、どうしても母の日にプレゼントしたいなら、今でも「手渡し」がベストの方法なのかもしれない。そうすれば、喜ぶ母の顔も見られることだし、一石二鳥といえるのではないか。

(弁護士ドットコムニュース)

今年の「母の日」は5月12日――。求人情報誌「an」が男女1000人を対象に行った調査によると、男性の約7割、女性の約9割が「母の日」にプレゼントを渡したことがあるという。「父の日」とくらべても「母の日」がより重要と答える人が多く、プレゼント代の平均額も高い。

最近では、オンラインショップの充実で、プレゼント選びがより気軽になった。一方で、注文が多くなれば、ショップ側の見落としや、運送会社の配送ミスが起きるとも限らない。まったく届かないなら返金してもらえるかもしれないが、数日遅れで届いた場合はどうだろう。「『母の日』じゃなかったら、買わなかったのに……」。そんな不満が出て来るに違いない。

はたして、時間をかけて選びに選んだプレゼントが「母の日」当日までに届かなかったとしたら、購入した人はショップや運送会社から何らかの補償を受けられるのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。

●キャンセルして、代金の返還を求めることができる

たとえば、花屋さんが『母の日ギフト』と銘打って花を売っているような場合、『母の日』に届かなければ、購入した人はその花を買った目的を達することができないことになる。秋山弁護士はこのようなケースを想定しながら次のように法的に解説する。

「契約の性質や当事者の意思表示によって、特定の日時または一定の期間内に履行されなければ、契約の目的を達成できない行為を『定期行為』といいます。

定期行為の場合、当事者の一方が履行しないで、その時期を経過したときは、相手方は、催告(催促)をすることなく、直ちにその契約を解除できます(民法542条)」

つまり、プレゼントが母の日になっても届かなければ、購入者は契約を解除(キャンセル)して、代金の返還を求めることができるということだ。

秋山弁護士によると、「『母の日ギフト』は、定期行為にあたる可能性が高い」という。さらに、「必ず母の日までに届けてください』」と念押しをしておけば、確実に「定期行為」となるそうだ。ただし、キャンセルすれば品物は返却する必要がある。

●慰謝料は、認められるとしても少額の可能性が大きい

一方で、秋山弁護士は「『運送事情によって、母の日までに配達が間に合わないことがありますが、よろしいですか』といった説明をショップから受け、それでも契約をした場合は、「『定期行為』とは言えなくなってしまう可能性が高い」とも説明する。

では、『母の日』当日にプレゼントが届かなかった購入者は、キャンセルするだけでなく、損害賠償を求めることもできるのだろうか?

「損害賠償として慰謝料の請求も考えられますが、認められるとしても少額だと思います。なお、運送会社とは契約関係がありませんので、上記のような請求は困難でしょう」

商品の選択肢が大幅に広がり、便利な世の中になったが、どうしても母の日にプレゼントしたいなら、今でも「手渡し」がベストの方法なのかもしれない。そうすれば、喜ぶ母の顔も見られることだし、一石二鳥といえるのではないか。

(弁護士ドットコムニュース)

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