9673.jpg
「夜中もキラキラして落ち着かない」 自宅イルミネーションは「光害」なのか?
2013年12月15日 16時45分

今年もあと少し。年の瀬を迎えると、クリスマスソングと並んで、キラキラと輝くイルミネーションが街のムードを盛り上げる。最近では、自宅に電飾イルミネーションをつける人も多い。なかには、趣向を凝らしたイルミネーションで有名になり、ちょっとした「観光地」になっている家もあるという。

しかし近所の人は、あまりにも張り切りすぎた「傑作」に、うんざりしているかもいるかもしれない。実際に、あるQ&Aサイトには「個人のイルミネーションはどこまでなら許されるのでしょうか」といった相談も寄せられている。せっかくのイルミネーションも、ご近所とのトラブルに発展してしまえば、台無しだろう。

では、自宅をイルミネーションで飾る場合、どのようなことに注意すればいいのだろうか。大阪弁護士会の公害対策・環境保全委員会の委員をつとめる山之内桂弁護士に聞いた。

今年もあと少し。年の瀬を迎えると、クリスマスソングと並んで、キラキラと輝くイルミネーションが街のムードを盛り上げる。最近では、自宅に電飾イルミネーションをつける人も多い。なかには、趣向を凝らしたイルミネーションで有名になり、ちょっとした「観光地」になっている家もあるという。

しかし近所の人は、あまりにも張り切りすぎた「傑作」に、うんざりしているかもいるかもしれない。実際に、あるQ&Aサイトには「個人のイルミネーションはどこまでなら許されるのでしょうか」といった相談も寄せられている。せっかくのイルミネーションも、ご近所とのトラブルに発展してしまえば、台無しだろう。

では、自宅をイルミネーションで飾る場合、どのようなことに注意すればいいのだろうか。大阪弁護士会の公害対策・環境保全委員会の委員をつとめる山之内桂弁護士に聞いた。

●近所トラブルの判断基準となる「受忍限度論」

実は、このようなイルミネーションなどの人工光をめぐるトラブルは「光害」と呼ぶそうだ。その対策のためのガイドラインが、環境省によって公表されているのだという。

「環境省のガイドラインでは、過剰な人工光が、生態系・天体観測・交通管制等に悪影響を及ぼしたり、眩しさ等の被害を生じさせることが指摘され、照明器具の選択や設置方法等、配慮すべき点が具体的に述べられています」

このように山之内弁護士は説明する。そのうえで、「光害」による近所トラブルが起きたときの考え方について、次のように述べる。

「光害が裁判で問題とされる場合は、『受忍限度論』によって判断されます。

受忍限度論とは、『一定の社会の中で互いに接触し、影響しあう関係にあるから、お互い様と思える限度までは我慢しましょう。一般的にほとんどの人が我慢の限界を超えると考える程度でなければ、加害者に対して加害行為の差止や、損害賠償を請求することはできません』という考え方です」

逆にいえば、一般的に我慢できる限度を超えれば、損害賠償を請求できたりするということだ。

●環境省の「光害対策ガイドライン」が参考になる

「どの程度になれば『受忍限度』を超えたといえるのかは、周辺の環境や被害側・加害側の個別事情を総合的に判断して決めることになります。

過去の裁判例を見ると、光害に対する損害賠償や差止等が認められるのは、かなり難しいといえますが、法的な責任がなければ何をしてもいいという考え方はトラブルの元ですので、くれぐれも近隣の生活環境との調和を考えて、自主的に障害光を抑制するべきです」

実際にイルミネーションを飾り付けようとするときには、環境省の「光害対策ガイドライン」を念頭におくとよいでしょう、と山之内弁護士はいう。

「たとえば、このガイドラインでは、国際照明委員会(CIE)の基準が参考に示されており、街中の住宅地や商業地での夜間窓面の明るさの許容最大値は、10~25ルクスとされています。ちなみに、20ルクスとは『10m先から人の顔や行動がだいたいわかる明るさ』と言われています。

この数値よりも近隣の窓辺が明るくなってしまうような電飾や、フラッシュのように点滅して極端な明暗差を生じる電飾等は避けるべきでしょう」

さらに、人が寝静まる深夜には、より厳しい基準が設けられているという。

「通常消灯すべき時間帯は、許容最大値が2~4ルクスとされています。これは、暗くなると自動点灯する照明機器が作動点灯する程度の明るさです。

消灯時間について特段の法規制はありませんが、貸金業法施行規則や特定商取引法通達が午後9時以降の営業活動を原則禁止していることからすれば、住宅地では、遅くとも午後9時までには電飾を消灯すべきと思います」

冬のイルミネーションは人の心を楽しませてくれる一方で、度を超えてしまえば、周囲の人々に迷惑をかけてしまう。くれぐれも「光害」だなんて言われないように、節度をもった飾り付けを心がけたいものだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る