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同意なき性行為、高裁が「880万円」の賠償を命じるまで 自衛隊セクハラ事件、弁護士の闘い

セクハラの賠償金の額が低いと言われる日本で、880万円の賠償を命じた事件がある。2017年4月12日に東京高裁で判決が言い渡された「航空自衛隊自衛官セクハラ事件」だ。

これは航空自衛隊浜松基地の元隊員の女性が、上官の男性から継続的な性被害を受けたとして、男性に1100万円の損害賠償を求めた訴訟だった。ただ、1審の静岡地裁浜松支部では、たった30万円の慰謝料しか認められなかった。

代理人を務めたのは、弁護士歴40年以上を有するベテランの塩沢忠和弁護士(74)と当時新人だった栗田芙友香弁護士(33)のコンビだ。

地裁判決を受け「怒りと驚きで死に物狂い」で控訴審に挑んだ2人。最高裁が2018年2月に被告側の上告を棄却し、提訴から3年5カ月で終結した。

果たして、地裁と高裁の判断を分けたものは、一体何だったのか。話を聞いた。

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嫌われ者の「姑」、夫の死後、家から追い出せる? 義姉夫婦にも拒絶され、行き場なし

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司法試験・予備試験合格者、過去最高の476人

法務省は11月6日、法科大学院を修了しなくても司法試験の受験資格が得られる「予備試験」の今年の合格者が476人だったと発表した。昨年より43人増加し、過去最高となった。

受験者数は1万1780人(途中欠席98人)で、5月に行われた短答式試験を2696人が合格。7月に行われた論文式試験では494人が合格していた。合格者の最低年齢は19歳で、最高年齢は63歳。合格者の平均年齢は26.03歳だった。

職種別にみると、大学生が250人、法科大学院生が115人、無職40人、会社員33人、公務員19人の順に多かった。男女別では、男性391人、女性85人。

司法試験は、短答と論文の試験が4日間の日程で一気に行われる一発勝負だが、予備試験は3次試験(短答、論文、口述)まである長丁場の試験だ。金銭上の理由などで法科大学院に進学することが困難な人たちのための救済策として2011年から始まり、今年で9回目。合格者は2020年以降、5年以内で5回まで司法試験を受験することができる。

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国が自賠責保険からの「借金」を返さず、やりたい放題のワケ 返済まで100年、保険料は値上げ

政府は、2022年12月23日、「令和5年度の予算案」を閣議決定しました。その中に自賠責保険からの借入金の返済額も含まれています。その額は、令和5年度は60億円となっています 。令和4年度は54億円だったので、6億円アップしました。

これだけ見ると、財務省は自賠責への借金をきちんと返済しているように見えるかもしれませんが、財務省の自賠責への債務残高は、令和4年度末見込みで5,952億円もあります 。返済額は債務額の約100分の1しかありません。このペースで返済すると100年かかることになります。

しかも、この返済額は財務省が自由に決めています。もちろん、国土交通省とある程度の調整はあるでしょうが、「財政状況が厳しい」との一声で少額の返済しかなされていないのです。一体どうしてこのような状況になっているのでしょうか。(ライター・岩下爽)

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コロナ禍でも救急搬送、イッキ飲みコールで「酒は凶器に」 遺族ら団体がうったえ

新型コロナの影響で、飲食店の営業時間や人数が制限されて、リアルな飲み会の開催は難しい現状にある。それでも、飲酒運転による死傷事故や急性アルコール中毒での救急搬送は後を絶たない。

こうした状況を受けて、「イッキ飲み」で子どもを亡くした遺族などでつくる「イッキ飲み防止連絡協議会」は3月1日、イッキ飲みや飲酒を強要するアルコールハラスメント(アルハラ)の防止を訴えるキャンペーンを始めた。

キャッチコピーは「コールでお酒は凶器に変わる」。イッキ飲みやアルハラは、他者と自らの命を危険にさらし、死に至ることもあるとして、警鐘を鳴らす。

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フリーランスで働く人は「下請法」で守られている――おさえておくべきポイントとは?

予告されていたマンガ連載が2日前に取り消された――。そんな体験をした若手漫画家やまもとありささんに対して、弁護士ドットコムが行ったインタビュー(http://www.bengo4.com/topics/1820/)は、ネット上で大きな反響を呼んだ。

やまもとさんはインタビューで、マンガ業界での契約は「口約束」がほとんどで、「新人の立場だと、どうしても下手に出てしまう」と述べつつ、そうした業界の慣習が「変わってほしい」と話した。この記事に対しツイッターでは、「契約という概念が曖昧なのが信じられない」「業界のいい加減さが酷い」と、マンガ業界の体質を批判する声が多くつぶやかれた。

そんな中、読者からは「漫画家やライターに限らず、フリーランスで働く人は『下請法』で守られているはずだ」という指摘も寄せられた。この下請法とはどんな法律なのだろうか。また、フリーランスで働く人が知っておくべきポイントはなんだろうか。籔内俊輔弁護士に聞いた。

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紙の本を「デジタルデータ」に変える 「自炊」代行は違法なのか?

「紙の本」をデジタルデータ化して、電子端末に入れて持ち歩こう――。手元にある本を裁断してスキャナで読み込み、パソコンやiPadで読めるPDFなどの「デジタルデータ」に変換する。そんな「自炊」がいま盛んだ。ただ、「自炊」には裁断機やスキャナなどの専用の機器が必要で、その作業に時間もかかるため、本をもっていけば代わりに自炊してくれる「代行業者」もあらわれた。

この「自炊代行」が物議を醸している。自炊の「代行」は著作権を侵害する行為だとして、東野圭吾さんや浅田次郎さん、弘兼憲史さんといった著名な作家・漫画家たちが自炊代行業者7社に対して、スキャン代行の差し止めを求める裁判を起こしたのだ。昨年11月に提訴された裁判は、まだ法廷で争われている。

こうしたなか、代行業者大手のブックスキャンが自炊代行の業界団体の設立を進めている。業界のルールを検討し、作家や出版社に敵視されている状況を解消する狙いもあるようだ。著作権法に違反せず、作家や出版社も納得する形で「自炊代行」業務を行なっていくには、どのような点に注意すればいいのだろうか。著作権法に詳しい雪丸真吾弁護士に聞いた。

●自炊代行が「私的利用」といえるかどうかが問題になる

「自炊は、紙の書籍をデジタルデータ化する行為ですが、著作権法上の『複製』にあたります(著作権法2条1項15号)。

複製は、著作権者の許可がない限り、違法となります(法21条)。しかし例外的に、(1)私的使用を目的とし、(2)その使用者が複製する場合には、適法となります(法30条1項)。

そのため、個人が自身で利用することを目的として、自身で自炊する分には違法となりません」

つまり、「自炊」は原則として、著作権者の許可がないと違法なのだが、「私的利用」に限って例外的に合法だというわけだ。

問題は、自分で自炊するのではなく、誰かに頼んで自炊してもらう場合はどうなのか、ということだ。その点について、雪丸弁護士は次のように説明する。

「自炊代行業の場合は、誰を『複製の主体』と考えるかで、違法かどうかが変わってきます。これは、さきほどあげた要件の(2)をみたすかどうかに関わる問題です。

すなわち、複製の主体が、データ化する作業を物理的に行っている『自炊代行業者』であると評価されれば、(2)をみたさず、違法となります。他方、自炊代行業者は『依頼者の手足』となってデータ化を行っているに過ぎず、複製の主体は『依頼者』であると評価されれば、(2)をみたし、適法となります」

●自炊代行の「複製主体」について判断した判例はまだない

では、自炊代行はどちらなのか。雪丸弁護士によると、「自炊代行の複製主体について判断した裁判例はまだありません」。しかし、「ロクラクII事件最高裁判決(平成23年1月20日)が参考になります」という。

この「ロクラクII事件」とは、海外在住者などのために、自分が住んでいない地域のテレビ番組を録画できるサービスを提供していた業者が訴えられた事件だ。このサービスで、海外などに住む利用者は、事業者のもとにあるテレビチューナー内蔵の親機を、インターネットを使って操作することができた。そして、親機に録画したテレビ番組データを、自分の手元にある子機に送信して、本来ならば視聴できない遠隔地のテレビ番組を楽しむことができた。

「裁判では、このサービスの提供において、子機を操作する利用者と、同サービスを提供する事業者のどちらが『複製の主体』なのか、すなわち、どちらがテレビ番組の録画をしている主体といえるのかが、問題となりました。

最高裁は、判断基準について、『複製の対象、方法、複製への関与の内容、程度等の諸要素を考慮して、誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断する』としました。そのうえで、事業者が放送番組を複製機器に録画するという『複製実現における枢要な行為』をしており、これがなければ複製がおよそ不可能であることを理由に、『事業者による複製』であると認定しました」

この「ロクラクII事件」の判例を参考にして、自炊代行業を考えるとどうなるだろう?

「ロクラクIIのサービスと自炊代行業は、対象著作物や技術的複雑性の点で異なりますが、複製実現における『枢要な行為』をしているという点で共通しますので、やはり自炊代行業者が複製主体であると考えるべきでしょう。したがって、私的複製は成立しないという結論になると考えます」

どうやら、自炊代行業者にとっては厳しい判断になりそうだ。自炊代行が「私的複製」にあたらないとすれば、著作権者の許可を受けないかぎり、違法ということになってしまう・・・・。しかし、それは自炊代行を利用しているユーザーにとって、残念なことだろう。雪丸弁護士も次のように話している。

「自炊代行への社会的なニーズ自体は認められますので、設立が進められている業界団体と作者・出版社側で何らかの権利処理がなされ、自炊代行業が健全な形で発展して行ければいいですね」

(弁護士ドットコムニュース)

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表現の現場でハラスメント横行 「アニメ監督にホテルに連れ込まれた」「レッスン室でレイプ寸前」

アートや演劇、映像など、さまざまな表現活動に関わる人に対するハラスメントについての調査結果をまとめた報告書「『表現の現場』ハラスメント白書2021」が3月24日、公表された。

調査を実施したのは、現代美術家の岡田裕子さんらアーティストや研究者11人でつくる「表現の現場調査団」。2020年12月から2021年1月にかけて調査を実施して、アート、演劇、映像、デザイン、音楽、文芸、アニメ、マンガなど、さまざまなジャンルで表現の仕事をしている1449人が過去10年以内に経験したハラスメントについて回答した。

「レッスン室に連れこまれ、レイプされそうになった」という女性音楽家や、「編集者に処女かどうかと聞かれた」という女性漫画家など、指導的地位を利用した女性に対する性的なハラスメントがジャンルを問わず広く見られた。また、回答者のうち、フリーランスは5割を超え、労働問題に絡んだハラスメントも多かった。

女性やフリーランスという弱い立場につけこんだハラスメントが多いという特徴があったが、泣き寝入りせざるをえず、対処されないまま、放置されてきた業界の構造的な問題や法整備の遅れが浮かび上がった。

調査団は、引き続き調査をおこなうとともに、ジェンダーバランス(性による差別解消)の啓蒙活動やフリーランスに対する法的保護を求める活動を5年にわたり継続していくとしている。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

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「ヒゲ禁止」は違憲!? 大阪市営地下鉄の運転士「身だしなみ」ルールをどう見るか

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夫が社内不倫、放置する会社も悪いんじゃない? 妻が「相手を処分して」と直談判

「夫が会社内で浮気をしていますが、会社は何もしてくれません」。弁護士ドットコムに夫の社内不倫に悩む女性が相談を寄せている。

相談者によると、夫は部下の女性と不倫しているという。夫が不倫相手に「大好きだよ」などのメールを送っていることや2人で泊まっていることも分かった。夫が不倫していることは夫の上司も把握しており、上司が「公私混同している」と注意したこともあったという。

これまで夫の会社では、不倫していた社員が解雇や降格になったこともあるそうだ。これを知った相談者が夫の上司に話をしたところ、「個人の問題なので、個人間で解決すべき。会社は関係ない」と言われたという。