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改正独禁法が成立、企業と弁護士との相談内容「秘匿特権」導入に日弁連「一歩前進」
カルテルや談合などの違反行為を自主申告した企業に対する課徴金制度の見直しを盛り込んだ改正独占禁止法が6月19日に可決、成立した。
今回の改正で、企業が弁護士と相談した内容を秘密として保護する「秘匿特権」が認められ、独占禁止法76条1項に基づく規則や指針などによって整備されることになる。
日本弁護士連合会(日弁連)の菊地裕太郎会長は同日、会長声明を出し、「秘匿特権」(日弁連は「依頼者と弁護士間の通信秘密保護制度」という)を認めたことを「一歩前進と評価できる」とした。
一方で、制度の適用対象がカルテルや談合などの「不当な取引制限」をめぐる行政調査手続に限定されていることについて、諸外国では例を見ず、不十分であると指摘。対象を独占禁止法の調査手続全般に広げることなどを求めた。
ブロッキングめぐり激論…川上氏「気持ち悪くても実害ない」、森弁護士「通信の宛先監視は実害だ」
インターネット上に違法にアップロードされたマンガやアニメが閲覧できる「海賊版サイト」の対策を考えるネット番組が6月22日、ニコニコ生放送で配信された。海賊版サイト対策として、ブロッキング(アクセス遮断)を積極的に唱える出版大手カドカワの川上量生社長や、それに反対する森亮二弁護士が激論を繰り広げた。
ブロッキングをめぐっては、法律家やプロバイダなどから、ブロッキングが、憲法で定められた「通信の秘密」や「表現の自由」を侵害する、といった批判があがっている。川上氏はこの日の番組で、「気持ち悪いということはあるかもしれないが、現実問題として、ユーザーに実害はない」と述べた。
このような川上氏の発言を受けて、森弁護士は「実害がないという意見には大いに異を唱えたい。たとえ機械的であっても、通信の宛先を監視されるということは、非常に問題だ。消費者団体も意を唱えている。通信の宛先を監視されることそのものが、実害だ。通信に関する萎縮行為がある」と反論した。
森弁護士によると、たとえば、機械的に通信の宛先をチェックするだけでも、悪用しようと考えた電気通信事業者(プロバイダ)が調べようと思えば、調べることができる。また、通信の宛先の記録について警察が閲覧を要求すれば、そのまま見せることもおこりうるという。
川上氏と森弁護士は知財本部の「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」のメンバーでもある。この日午前には、同会議の第1回会合も開かれており、「ブロッキングでしか解決できない」と主張する川上氏に対して、森弁護士が「ブロッキングありきはいけない」と、他のメンバーに警戒を促していた。
ストーカー規制法は改正が必要か
今年11月に発生した神奈川県逗子市のストーカー殺人事件をうけて、電子メールやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)への書き込みも規制対象に加えるストーカー規制法の改正案が、近々国会で検討される見込みであると報じられている。
ストーカー規制法の施行からおよそ12年が経過しているが、はたしてストーカー規制法の改正は必要かどうか、弁護士ドットコムに登録する弁護士に見解を聞いてみた。
ストーカー規制法の改正が必要かどうかについて、弁護士の見解で最も多かったものは「将来的には改正を検討するべきである」であり、約半数の弁護士がこの見解を示す結果となった。
この見解を示した弁護士からの意見で目立ったのが、同法の改正については議論の余地があるとしながらも、「今回の逗子市の事件では現行法でも対応できたのではないか」というもので、条文にメールやSNSについて明記されていなくとも、その内容が実質的にはつきまとい行為ならば規制の対象になったのではないかとして、警察の対応の不備を問う声が上げられた。
次いで多かったのは「ただちに改正するべきである」とするもので、3割強の弁護士がこの見解を示した。この見解を示した弁護士からは、電話やFAXが規制対象であるならば当然メールも対象にすべきだという意見が上げられたが、こちらの立場からも警察の対応の不備を問う声があり、必ずしも法改正だけでは解決しない課題があることが浮き彫りになった。
ストーカー規制法については、先日にもDV被害を受けた女性を支援するNPO法人などの45団体が改正を求める緊急声明を出すなど、改正を求める声が徐々に高まっており、今後国会で具体的な検討がなされるのか注目したい。
鈴木おさむさん「育休宣言」ーー普通の男性社員が育休を取るには「残業制限」が必要?
女性お笑いトリオ「森三中」の大島美幸さん(35)が出産したことを受けて、その夫である放送作家の鈴木おさむさん(43)がブログで、約1年間の「育休」をとることを発表した。
ブログによると、鈴木さんは自宅で脚本執筆などの仕事は続けるが、テレビの放送作家としての仕事は休み、育児に時間をあてるという。また、自らの「育休」について、父親になるための「父勉(ちちべん)」と呼び、「世の中の男性の育休の制度や状況が少しずつでも変化していくことを願っています」と記している。
男性の「育児休業」取得率は、政府目標を大きく下回る状況が続いている。6月末の厚生労働省の公表によると、2014年度の育児休業取得率は、女性が86.6%(前年度比3.6ポイント増)だったのに対して、男性は2.30%(同0.27ポイント増)にすぎなかった。男性の育休取得率は2007年度以来、初めて2年連続で増加したものの、伸び率は小さい。政府が掲げる「2030年までに13%」という目標は、まだまだ遠いといえる。
なぜ、男性の育休取得は進まないのだろうか。また、育休を取得しやすくなるには、どんな制度が必要だろうか。野澤裕昭弁護士に聞いた。